エジプトとトルコのベリーダンス 
 


中近東がその起源と言われるベリーダンス、
そのスタイルは大きく、エジプシャン・スタイルとターキッシュ・スタイルに分かれます。
その違いとは・・・?







 エジプシャン・スタイル 

もっともオーセンティックで伝統的なスタイルです。動きは細かく優雅で重厚。
曲とともに身体で歌うように、繊細に身体と表情を使って情感を表現します。
ベールを激しく振ったり、回転したりなどの大きな動きはありません。

見慣れないと、動きも控えめなので簡単そうに見えますが。実際に踊ると
細やかで、難易度の高いテクニックを必要とします。
重心はターキッシュスタイルよりもずっと低め。
しっかりグラウンディングした下半身の安定感から生み出される、
切れの良い動きが特徴です。
世界的な潮流からいえば、オリエンタルベリーダンスといえば
ターキッシュよりエジプシャンが主流です。

エジプトはアラブ文化圏の芸能の中心地です。
ベリーダンスで踊られる曲も重厚なエジプト近代歌謡の名曲や
リズミカルな現代のアラビック・ポップなど多種多様。




楽器の構成はダルブッカやレクなどの打楽器を主役とします。
ターキッシュに比べて、低音域がクローズアップされます。
重厚な音のこぶし回しに合わせて、即興で音楽に呼応するように
踊ります。その音楽とのシンクロ具合が腕の見せ所です。

(エジプトとトルコは地理的には近いですが、言語は前者は
アラビア語、後者はトルコ語。文化体系が違うので
聴かれている音楽も違います。)


エジプトのベリーダンスはトルコに比べて、規制が多いので
衣装もエレガントで露出度も激しくありません。ベルベットなどの光る素材、
ジョーゼットなどの透ける素材にスパンコールやビーズをあしらい
全体に優雅でエレガントな印象のものが多いです。











 ターキッシュ・スタイル 

トルコのベリーダンスは伝統的にロマ出身の踊り手や音楽家が多かったことから
彼らの音楽の影響を多く受けてきました。

エジプシャンに比べて、大胆で大きな動きが特徴です。
ダイナミックに回転したり、ベールを効果的に使ったり。
また、床に膝を着いたり、寝そべって官能的に踊るフロアワーク
が見せ場になることも特徴的です。
(エジプシャンではフロアワークは踊られません。)

音楽もカーヌーンなどの弦楽器、クラリネットも好まれ、
またトルコのダンサーには欠かせないジルの音色も高音です。
エジプシャンよりも高音域が目立ち、
その踊りのスタイルも重心が高く、ダンサーも比較的細身。
全体的に華やかな躍動感を感じさせます。
ハイヒールを履いて踊られることが多いのも
それを裏づけているでしょう。

ロマ独自のリズムである8分の9拍子の音楽が多いのも特徴のひとつです。

トルコのベリーダンスはエジプトに比べて規制が少なかったため
ヨーロッパの流行も取り入れ、柔軟に発展してきました。
衣装も大胆で、露出が多く、足が全部見える程の大きなスリットのスカート
も好まれます。
動きが激しいので、生地がひらひら舞うような、広がりのあるデザイン
もトルコ的です。


もともと感性の柔軟な女性たちによって踊られ、
作られてきたベリーダンスは
それほど厳密な規格があるわけではありません。

現代ではエジプトでも露出の多い衣装が着られるようになったり、
トルコでエジプト風の衣装が好まれたり・・・
お互いに影響を与え合あい、
時代の流れに合わせながら、変化と発展を続けています。